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重症心不全

心臓のポンプの働きが低下した結果として血液の渋滞(うっ血)も生じ肺うっ血による呼吸困難や全身のむくみが生じ起きる身体の状態を心不全と云います。心不全は先ず、内科的に薬剤を用いて治療します。薬剤による治療では改善しない重症の心不全に対しては、機械による補助循環法が必要です。補助人工心臓は高度な心不全の患者を救命するために心臓のポンプの働きを代行する機械です。

体外式補助人工心臓補助人工心臓には、国立循環器病センター型のように血液ポンプが体外に設置されている体外設置型と血液ポンプが体内に設置される埋込み型があります。現在、承認されているのは体外設置型だけですが、数カ月以内に体内設置型が承認されると予想されています。体外設置型の補助人工心臓を装着した場合、患者は退院することができず、入院したまま心臓移植を待機しなければなりませんが、埋込み型補助人工心臓を装着した場合、自宅に復帰することも可能であり、心臓移植を待機している間の生活の質(QOL)は著しく改善します。

埋込み型補助人工心臓補助人工心臓よる重症心不全の治療は近年、更に進歩していますが、機械の補助能力、耐久性の点からも活動性や使用できる期間にはまだ限界があります。重篤な慢性心不全に対する治療法として注目されているのが心臓移植手術です。

心臓移植は移植以外に治療手段のない患者に対する治療法として、20年以上前から欧米を中心に広く行なわれています。本邦でも1999年に脳死心臓移植が開始されてから、2010年9月15日現在、75例の心臓移植手術が行なわれました。臓器移植法が改正され臓器提供数が増えたため、心臓移植を受けるまでの待機期間は短くなることが期待されています。

心臓移植が医療として定着した背景には、術後の感染に対する対策、心臓移植を行なった後に起きる拒絶反応を抑える強力な免疫抑制剤の開発などがあります。心臓移植の成績は向上しており、ほとんどの方が、入院加療を必要とせずに元気で日常生活に復帰しています。

心臓移植は心臓移植以外の従来の治療法では救命ないし、延命することを期待できない重症の心機能障害をもつ心臓の病気に対して行なわれています。具体的には広範な心筋梗塞、重症の心筋症(主に拡張型心筋症)高度の心筋障害を伴う心臓弁膜症などです。

心臓移植を受けた後は、免疫抑制剤は拒絶反応を抑えるために必ず免疫抑制剤を内服する必要があります。免疫抑制剤は拒絶反応を抑える働きがありますが、細菌、ウイルス、真菌などによる感染が普通の健康な人よりも起きやすくなります。心臓移植を受けた後は定期検査を受け、日常生活でも厳重に注意しなければならないことが少なくありません。そのためにも心臓移植以外では救命できない心臓病であると診断され、心臓移植を希望された場合は本人だけではなく、家族の協力が是非とも必要になってきます。

埼玉医科大学国際医療センターは2010年7月に心臓移植施設に認定されました。補助人工心臓の装着が必要な場合はいつでも対応できる状況にあります。現在、数名の心臓移植の希望者が日本臓器移植ネットワークへ登録を済ませており、脳死状態の心臓の提供者があらわれ、ネットワークから心臓移植の候補者に選択されれば、いつでも心臓移植を行えます。

以上、補助人工心臓の装着、心臓移植について概説しました。これらの心不全に対する治療法にはまだ、多くの問題点がありますが、補助人工心臓を装着することにより、心不全が強くてベッドから起き上がれなかった人が歩くことができるようになります。補助人工心臓を装着して、多くの制限があった患者が心臓移植を受けて普通の人と同じ生活をすることができるようになります。1人でも多くの方が日常生活に復帰できることを強く希望しています。